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リリカルなのはの二次小説-ssを掲載しています。

チヴィ

第4話:フェイト・テスタロッサ・ハラオウンと出会う【リリカルなのは2次小説】

 「あらっ、このケーキ美味しいじゃない!」
 「おいしい〜!」
 悠子と詩乃は翠屋のケーキを一口食べると、その絶品な味に感嘆を漏らす。
 秋人が翠屋でいきなりのバイト体験をしたあの後、帰り際に桃子が引っ越しのご挨拶にと、ケーキを持たせてくれたのだ。
 お使いもそっちのけで連絡もせずに遅くなってしまった秋人にご立腹だった母と妹は、しかし献上されたケーキによってあっけなく機嫌を直してくれたのだった。甘いお菓子というのは多くの女性にとって非常に有効な手段である。
 「それで、あんたはそのお店でバイトすることにしたの?」
 「ああ、うん、そのつもり」
 秋人が頷くと、詩乃が顔を輝かせて手を挙げた。
 「それは、とてもいいことだとおもいます!」
 「おまえケーキ食いたいだけだろ…… いっとくけど、いつもケーキを貰って帰れるわけじゃないからな?」
 秋人の言葉に、詩乃は名案を思いついたかのように手を挙げると、自信満々に口を開く。
 「そしたら、お兄ちゃんのアルバイト代でおかあさんと詩乃にケーキを買ってくれればいいとおもいます!」
 「賛成多数により可決します」
 娘の提案に悠子も即賛成の手を挙げる。
 「反対!」
 秋人の反対に二人はやれやれと嘆息まじりに肩をすくめる。 
 「この坊やは民主主義ってものをわかってないわぁ」
 「こまったお兄ちゃんだねぇ」
 秋人はよく知っていた。この家で決め事をすると、大抵が1:2で秋人が不利な状況に立たされる事を。
 「というか、詩乃は意味分かってないだろ」
 「しってるよ? テレビで見たことあるもん」
 詩乃はえへんと胸を張って口をひらく。
 「みんしゅしゅぎっていうのは……数の多い方がだいたい勝つってこと!」
 意味は違うが、言ってることはだいたい合っている。けれど兄として妹を正しい方向へと導く義務があると秋人は感じた。
 「いやまて、いいかい詩乃、本来民主主義とは……」
 秋人が熱く語ろうとしたところで悠子がパチンと両手を合わせた。
 「長くなりそうなのでここで議会を終了します。秋人のアルバイトは許可します。ただし、たまにケーキを買ってくること、以上っ」
 「おつかれさまでした〜」
 そして母と妹は食べ終わった食器を持って台所へと去っていった。
 1人残された秋人は、悔しさにうちひしがれるだけである。かくして、秋人のアルバイトはめでたく許可されたのだった。


 翌日、秋人は親からアルバイトの許しが出たことを伝えに翠屋に赴いた。
 店の前に到着すると、丁度カフェテラスに座っているなのはを見つけた。他にも秋人が知らない少女と話をしている。
 おそらくは学校の友達だろう、同じぐらいの年齢であろう少女と楽しそうに談笑していた。

 そんな様子をうかがいつつ、まず秋人の目を引いたのが、なのはと話をしている少女の髪だった。
 染めてもああはならないだろうという綺麗な光沢を放つ長く艶やかなブロンド。
 外国の子というのは確かだろうが、なのはと話をしているということは日本語が喋れるようだ。

 もしかしたら、実はなのはが言語に達者な小学生という可能性はまあないだろうと、そんな事を考えながらも、なのはと喋っているその少女の笑顔がやけに幸せそうで少し微笑ましい気分になった。

 そんな二人に近づく秋人に、先に気がついたのはその少女だった。
 次いでなのはが振り向いて秋人を見ると、ぱたぱたと手を振ってきた。
 昨日会ったばかりだが、既に友達感覚でいてくれるのは秋人にとってありがたかった。
 この先、翠屋でアルバイトをしていくのなら、高町一家と付き合っていくことになるのだから、印象というのは大事である。
 「お〜っす」
 「こんにちはっ、秋人さん」
 秋人となのはが知り合いだということが分かったのだろう、隣の少女も若干表情を和らげてペコリとお辞儀をする。
 「ほらなのは、こちらのお子さんに俺の事をいい感じに、ちょっと素敵なお兄さん的な第一印象が植え付けられるよに紹介してくれよ」
 「あっ、はーい」
 言われてなのはは、二人の間に立つ。
 「フェイトちゃん、こちら秋人さん、翠屋でアルバイトをする事になった人です」
 しばしの沈黙。
 「……あれっ、それだけ? それだと全然親しくない感じじゃないか? 遠慮せずに、もっと素敵エピソードとか盛ってもいいんだよ?」
 秋人の不満になのははかぶりを振った。
 「残念ながら、なのはも先日会ったばかりなのでいい感じのエピソードはございません」
 「あ〜……盲点だったわ」
 適当な事ばかり言う秋人をかるく流して、今度はフェイトを秋人に向き合わせる。
 「秋人さん、こちらフェイトちゃん。私と同じ聖祥大附属小学校に通っていて、頭が良くてスポーツも万能、ほんわか笑顔が素敵な女の子です」
 「なるほど……紹介が俺よりも豪華だな」
 「私達には素敵エピソードがたくさんありますからっ」
 自慢気に胸を張るなのはの袖をフェイトが遠慮がちに引っ張る。
 「なのは……ちょっと恥ずかしいよ」
 それからフェイトは秋人に向き合うと、もう一度礼儀正しくお辞儀した。
 「初めまして、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです、翠屋には友達と一緒によく伺ってますので、これからよろしくお願いします」
 「こりゃご丁寧に、ちょっと素敵なお兄さんを目指してる響秋人です。俺の事は親しみを込めて、お兄様とか秋人と呼んでくれ」
 「じゃあ……秋人で」
 「だよね〜……」
 そして秋人とフェイトは握手をした。
 この出会いで秋人の第一印象が"変なお兄さん"としてフェイトに植え付けられたのは確かだろう。
 
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[ 2016/05/25 12:03 ] [ 編集 ]
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