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なのはとしょ

リリカルなのはの二次小説-ssを掲載しています。

チヴィ

第2話:喫茶翠屋へようこそ(1) 【リリカルなのは二次小説】

 秋人が家を出てから少し歩くと、すぐに店が並ぶ大通りに出た。
 どの店も品の良い感じで、人通りも多く活気があった。よくある商店街の寂れた雰囲気などもない。通りを進みながら店先を覗いていみると、ディスプレイに飾られている服や雑貨も、学生にはちょっと手が出せないものから、手頃なものまで種類も豊富だ。
 途中、秋人は通りがかった喫茶店にアルバイト募集の張り紙がしてあるのを見つけた。
 『アルバイト募集 コーヒーとケーキが好きな人歓迎 時給応相談 詳しくはお店まで☆』
 (なんだこれ、仕事内容とか必要なスキルとか、大事な事が何も書いてない!)
 適当すぎる内容の張り紙に軽くショックを覚える。いったいコレを書いた人は何が狙いなのだろうか。
 建物を見上げると入り口の看板には『翠屋』と書かれている。名前の由来が気になりつつも、窓から中を伺うと、休日ということもあって店内は多くの客で賑わっていた。どうやら店は繁盛しているようである。
 もしもここでバイトするなら色々な意味で大変そうだ。などと考えながら、今日のところは一旦置いておくことにして、他の候補を探してから検討しよう。そう考えて後ろへ振り返ると、いつからそこに居たのだろうか、目の前には見知らぬ少女が立っていた。
 おそらく小学生だろう、二つに結んだ髪をぴょこぴょこ揺らしながら、秋人をまじまじと見ている。そんな少女としっかり目が合ってしまった。
 店の中を覗いているのが怪しすぎて不審者だと思われてしまったのかと、秋人が不安になっていたところで、少女が口を開いた。
 「あの〜、もしかしてアルバイト希望の方ですか?」
 「え? ああ、そうそう! バイトを探してて、この張り紙を見てたんだ。別に怪しいものじゃあない!」
 無駄に力説してしまい、かえって怪しくなってしまった。だがしかし、なぜか少女は秋人の言葉を聞いて笑顔になったのだ。
 「やっぱり! それじゃあお店の中にどうぞっ」
 言うが早いか、少女は店のドアを開けて秋人を招き入れようとする。
 いったいぜんたい、これはどういう流れなのか。秋人は現状の把握を試みる。求人募集を見た人間を店に招くということは、この少女は店の関係者なのだろう。しかしどこから見ても小学生だ。従業員ではない。つまりこの少女の正体は……
 「君は昨今流行のちびっ子店長だな!」
 「ちがいますけど?」
 真顔で即答されてしまった。
 「このお店は私のうちが経営してるんです。だから店長はお父さん」
 「だよね〜 そうだと思ったわ〜 会った時からそうだと思ってたわ〜」
 秋人のこのうえなくうざったい口調に、少女はおもしろい生き物を見つけたかのように、おかしそうに笑った。
 「にゃはは、お兄さんおもしろいですね」
 二人がそんなやりとりをしていると、店の奥から黒いエプロンを付けた女性が近づいてきた。今度こそ従業員で間違いないだろう。
 「なのは、そちらはお客様?」
 「ううん、アルバイトの募集を見てくれた人」
 「あらそうなの!」
 なのはの言葉に女性は嬉しそうにポンと手を叩く。秋人はマズイ雰囲気を感じた。さっき張り紙を見たばかりで、まだ検討段階だったのに、この状況、いつのまにかバイトに応募することになっている。
 「いや、今日はバイトを探してただけで、履歴書とかも持ってきてないですから……」
 「そうね、まずはどんなお仕事をするのかお話しないとね、もう少ししたら、お店も落ち着くと思うから、少しだけ奥で待っていて貰えるかしら? なのは、案内してさしあげて」
 「は〜い!」
 (人の話を聞いてくれ……!)
 秋人が頭の中で悲鳴を上げているのはスルーされ、なのはと呼ばれた少女に半ば強引に連れられて店の奥にある部屋に入った。おそらく従業員の休憩場所としても使われているのだろう。ロッカーと机が置いてある。秋人は仕方なく椅子に座り、どうしてこんなことになってしまったのかと悩みながら、ちらりと傍らにいる少女、なのはを見ると、少女は興味深そうに秋人をみていた。
 「なんだ?」
 「あっ、ううん、そういえば、お兄さんの名前も知らないなって…… 改めまして。私、高町なのはっていいます」
 丁寧にぺこりと頭を下げられると、秋人も なのはに体を向ける。
 「響秋人だ、まあ、よろしくな」
 「うん、秋人さん」
 自己紹介をして、ようやく少しは気心が知れたせいか、なのはの態度も少しくだけたようだ。にぱっと笑う彼女の顔に、秋人は少し気持ちが落ち着いた。
 そこで、先ほどの女性従業員の顔が思い浮かぶ。よくよく見れば、なのはと彼女はどことなく雰囲気が似ていた。そしてこの店を経営しているのは なのはの両親、つまり結論は……
 「あのお姉さんは なのはの姉ちゃんだな!」
 「ちがうよ?」
 またも即答されてしまった。
 「あれは 私のお母さん」
 「だよね〜 そうだと思ったわ〜 会った時からそうだと……ってお母さん!? お母さん若っ!!」
 「やっぱり秋人さんておもしろいね」
 なのはに笑われながら、なぜ自分はこんなところで1人突っ込みまでしているのだろうと、秋人は途方にくれる。
 そしてアルバイトへの道のりはまだ続くのだった。
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